相続税・贈与税制度の改正

令和5年相続税及び贈与税の改正

相続時精算課税に係る基礎控除の創設

 相続時精算課税を選択した受贈者(相続時精算課税適用者)が、贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されます。

相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例創設

 相続時精算課税適用者が、特定贈与者から贈与により取得した土地又は建物について、その贈与の日からその特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害によって一定の被害を受けた場合には、その相続税の課税価格への加算の基礎となるその土地又は建物の価額は、その贈与の時における価額から、その災害による被災価額を控除した残額とすることができます。

暦年課税による生前贈与の加算対象期間等の見直し

 相続又は遺贈により財産を取得した方が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)にその相続に係る被相続人から暦年課税による贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額(その財産のうち相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされます。

法務局での遺言書保管制度

 自筆証書遺言については、法務局での遺言書保管制度が令和2年7月10日から始まりました。自筆証書遺言を法務局に預け、画像データ化して保管する制度です。  遺言書保管制度を利用することで、自筆証書遺言のデメリットを軽減したり解消したりすることができ、自筆証書遺言を用いて円滑に相続手続きを進めるうえで便利な役割も果たしてくれます。 なお、遺言書補完制度のメリット、デメリットは次のとおりです。

遺言書保管制度のメリット

①遺言の形式ルールのチェックを受けられる、②法務局の保管によって偽造や書き換えを防ぐこおtができる、③死亡時に遺言の存在が通知される、④検認の必要は無し

遺言書保管制度のデメリット

①内容については確認してもらえない、②本人が法務局に行く必要がある、③遺言書の様式が決まっている

40年振りの相続法の改正概要

「配偶者居住権の新設」(令和2年4月1日施行)  配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に,配偶者は, 遺産分割において配偶者居住権を取得することにより,終身又は一定期間,その建物に無償で居住することができるようになります。  被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできます。 「夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置」(令和1年7月1日施行)  婚姻期間が20 年以上である夫婦間で居住用不動産(居住用建物又はその敷地)の遺贈又は贈与がされた場合については,原則として,遺産分割における配偶者の取り分が増えることになります。 「預貯金の払戻し制度の創設」(令和1年7月1日施行)  預貯金が遺産分割の対象となる場合に,各相続人は,遺産分割が終わる前でも,一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができるようになります。 「自筆証書遺言の方式緩和」(平成31年1月31日施行)  自筆証書遺言について,財産目録については手書きで作成する必要がなくなります。  ただし、財産目録の各頁に署名押印をする必要があります。 「法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設」(令和1年7月10日施行)  自筆証書遺言を作成した方は,法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます。  遺言者の死亡後に,相続人や受遺者らは,全国にある遺言書保管所において,遺言書が保管されているかどうかを調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求),遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができまた,遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。 「遺留分制度の見直し」(令和1年7月1日施行)  遺留分を侵害された者は,遺贈や贈与を受けた者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。  遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には,裁判所に対し,支払期限の猶予を求めることができます。 「特別の寄与の制度の創設」(令和1年7月1日施行)  相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には,相続人に対して金銭の請求をすることができるようになります。

平成27年度の相続税改正概要

「相続税の基礎控除の縮小」  相続税の基礎控除が6割に縮小されます。 (現行):5000万円+1000万円×法定相続人の数 (改正):3000万円+600万円×法定相続人の数  遺産が基礎控除を超える場合は、相続税の申告が必要になります。 「相続税の税率引き上げ」  現行の相続税速算表最高税率6億円超が50%(4700万円控除)が、改正により2億円超・3億円以下が45%(2700万円控除)に、6億円超部分が55%(7200万円控除)になります。 「特定居住用宅地等の限度面積の拡大」  被相続人等の自宅の敷地が80%減額される特定居住用宅地等について、現行の限度面積240㎡から330㎡(100坪)まで拡大されます。 「特定居住用宅地等の要件の緩和」 (二世帯住宅)  一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものは、現行は「別居」扱いですが、改正では「同居」として特定居住用宅地等の特例が適用されます。 (老人ホーム)  現行は、有料老人ホームに入所している場合、小規模宅地等の特例の適用が受けられませんが、改正では、次の要件が満たされる場合、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例が適用されます。 ・被相続人に介護が必要なため入所したものであること。 ・当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと。 「相続時精算課税の適用対象者の拡大」  現行の「贈与者65歳以上」「受贈者20歳以上の子」を、改正により「贈与者60歳以上」「受贈者20歳以上の孫も加える」に拡大されます。 「特定居住用宅地等の限度面積の拡大」  被相続人等の自宅の敷地が80%減額される特定居住用宅地等について、現行の限度面積240㎡から330㎡(100坪)まで拡大されます。 「教育資金の一括贈与に係る非課税措置の創設」 (概要)  30歳未満受贈者の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、拠出額のうち1500万円までの金額については、贈与税は課されません。 (申告)  受贈者は、教育資金非課税申告書を金融機関を経由して税務署に提出しなければなりません。